OOCM
Object-oriented Cost Model
オブジェクト指向コストモデル(OOCM)は、コストの構成要素をできるだけ自然に表現でき、要約による情報損失をできるだけ少なくし、さらに直感に訴えるコスト表現方法を可能にする、再帰的構造をもったコストシステムの一般モデルです。
このページでは尾畑の提唱するオブジェクト指向コストモデルについての情報をまとめております。
オブジェクト指向原価計算関係の論文
- 尾畑裕稿「オブジェクト指向原価計算の基本構造」一橋論叢、第128巻第4号(2002年10月),402-418ページ。
- 尾畑裕稿「オブジェクト指向原価計算モデルによるリスクの把握と管理−調達資材価格変動の潜在的リスクの把握とヘッジ利用に対する原価計算的Viewの提供について」一橋大学大学院商学研究科編『新世紀の先物市場』東洋経済新報社、2002年、第12章(pp.193-208.)
- 尾畑裕稿「コスト透明性とオブジェクト指向原価計算」JICPAジャーナル, No.570(2003年1月)、pp.54-59.
- 尾畑裕稿「21世紀型原価計算の展望」会計人コース、2004年5月号、pp.4-9。
OOCM (Object-oriented Cost Model)について
現在オブジェクト指向技術は、その再利用可能性のために非常に注目をあつめていますが、その一方でパフォーマンスの問題などで、基幹システムでの普及が阻害されています。しかし、IT技術の劇的な進展スピードを考えれば、5年後、10年後には、確実に主流の技術になっていくと思われます。ITの世界で考えられているシステム設計者の観点からのメリットのほかに、より直感的洞察をえられるコストシステムなど利用者がメリットを享受できる可能性を秘めていると思われます。
OOCMは、以下のような原価計算観に基づいています。
- 原価とは,原価計算対象に集計された要約数値のみを意味するのではない。コスト情報利用者が、コスト情報を引き出すための出発点となる起点となるもの。その起点から、芋づる式に、個別のデータ、さまざまな視点からのディテールや要約データを引き出す。
- 原価計算は資源の物量的消費情報が骨組みを形成する。原価計算の原子的構成要素は,資源消費である。
- 原価計算は,原価計算対象階層とプロセス階層をもつ。ただし原価計算対象階層は1つとはかぎらず、必要に応じて代替的原価計算対象が構築を可能とする。原価計算システムは、原価計算対象階層を中心としたViewとプロセス階層を中心としたViewを提供すべきである。
- 資源消費は,原価計算対象階層とプロセス階層の両方に帰属する。
- 原価計算は十分な透明性をもつべきで,最終原価計算対象からもプロセスについての情報、末端の資源消費についての情報が見えるべきである。また原価計算対象から、プロセスについての情報を取り出したり、プロセスから原価計算対象についての情報を取り出したりできなければならない。
- 原価計算システムは、ユーザーがコストについて直感的洞察を得ることを支援するものでなければならない(コストオブジェクトナビゲータ、プロセスナビゲータの採用など)。